2012.03.15
製作依頼を受けて4カ月、多くの課題を一つ一つ解決し、ようやく ”製作側の完成” の時を
迎えました。 しかしこれで終わった訳ではありません。
良し悪しは、”演じる側のプロ芸に応えられる出来栄え” であるかどうか・・・で決まります。
【評価のポイント】
ポイントは前回の記事でもご紹介しました ①真円度 ②重心 ③重さ ④大きさ の四項目
ですが、評価はそう単純なものではなく、コマと演目との相性はどうか、と云う事が重要な要素
となります。
6種類のコマを製作し、実演評価をして頂いた結果は・・・
皿コマ を除く5種類に及第点を頂きました。
●皿コマは一体何が問題だったの?
『皿コマ』は、演目が『しだれ柳』など他の演目に比べて、より繊細さが求められることから、重さ
と重心双方のバランスが更に一段高く要求されていたのです。
更なる ”減量” には、『木製独楽』の重さと重心のバランスを忠実に再現する方法も考えられ
ますが、その場合、木とアクリルの比重の違いが問題となります。『木製独楽』の木は硬いとは
云え、アクリルの比重(約1.2)に比べれば軽く、単純な形状の模造では、到底プロ芸に応えられ
る”アクリル透明曲独楽”はできませんでした。
”減量”のポイント ⇒ 『木製独楽』の重心位置を確認、その上で加工するアクリルの重さと
重心位置を確認しながら細心の注意を払い、削り込み作業を行い
ました。
※その甲斐があり再度の実演評価で合格!
【回らないコマから回るコマへ・・・そして曲独楽の新たな世界へ】
観賞用コマの展示に始まり、4カ月に渡る ”曲独楽” 作りへの挑戦、そしてプロ芸用の 『蛍光
カラ―入り”透明曲独楽”』 の製作・完成へと結びつけることができました。
これは依頼者側の ”曲独楽の世界に新たな新風を” ・・・の強い想いが製作側へ伝わり、それを
何としても実現させたいとの想いで試行錯誤を重ね、厳しい評価を経て初めて実現できたものです。
【寄席やホールで観賞される場合のポイント】
『蛍光カラ―入り”透明曲独楽”』 は、透明アクリルに赤や黄色・橙色などの蛍光カラ―を加えて作り
込んでいるため、光の透過や当たり方でとても美しい姿を見せてくれます。
***曲独楽を最大限に楽しむポイント***
①なるべくこじんまりとした寄席やホールがお勧めです(例えば池袋演芸場など)
②最前列で観賞されるのが最高です(舞台照明の光が上から独楽を透過する際、蛍光カラ―
に反射してとても綺麗に見えます。特に”しだれ柳”は必見です!)
機会があれば是非一度、寄席やホールへ足を運んでみては如何でしょうか・・・
曲独楽は、『曲独楽師〔やなぎ南玉 師〕』により都内の各寄席やホールなどで演じられております。
詳しくは、各寄席やホールの開催予定等でご確認ください。
〔江戸古来の曲独楽造りに挑戦3回シリーズをご覧いただき有難うございました。今後も話題性の
ある情報について掲載して参ります。〕