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江戸古来の『曲独楽』造りに挑戦(Ⅲ) (全3回シリーズの最終回 )

製作依頼を受けて4カ月、多くの課題を一つ一つ解決し、ようやく ”製作側の完成” の時を
 迎えました。 しかしこれで終わった訳ではありません。
 良し悪しは、”演じる側のプロ芸に応えられる出来栄え” であるかどうか・・・で決まります。

 【評価のポイント】

 ポイントは前回の記事でもご紹介しました ①真円度 ②重心 ③重さ  ④大きさ   の四項目

  ですが、評価はそう単純なものではなく、コマと演目との相性はどうか、と云う事が重要な要素

 となります。

 6種類のコマを製作し、実演評価をして頂いた結果は・・・

 

 皿コマ を除く5種類に及第点を頂きました。

 

●皿コマは一体何が問題だったの?

 皿コマは、演目がしだれ柳など他の演目に比べて、より繊細さが求められることから、重さ

 と重心双方のバランスが更に一段高く要求されていたのです。 

 更なる ”減量” には、木製独楽の重さと重心のバランスを忠実に再現する方法も考えられ

 ますが、その場合、木とアクリルの比重の違いが問題となります。木製独楽の木は硬いとは

 云え、アクリルの比重(約1.2)に比べれば軽く、単純な形状の模造では、到底プロ芸に応えられ

 る”アクリル透明曲独楽”はできませんでした。

   

  ”減量”のポイント ⇒ 『木製独楽』の重心位置を確認、その上で加工するアクリルの重さと

                重心位置を確認しながら細心の注意を払い、削り込み作業を行い

                ました。

  その甲斐があり再度の実演評価で合格!

 

【回らないコマから回るコマへ・・・そして曲独楽の新たな世界へ】

観賞用コマの展示に始まり、4カ月に渡る ”曲独楽” 作りへの挑戦、そしてプロ芸用の 蛍光

カラ入り”透明曲独楽”の製作・完成へと結びつけることができました。

これは依頼者側の ”曲独楽の世界に新たな新風を” ・・・の強い想いが製作側へ伝わり、それを

何としても実現させたいとの想いで試行錯誤を重ね、厳しい評価を経て初めて実現できたものです。

 

【寄席やホールで観賞される場合のポイント】

 蛍光カラ入り”透明曲独楽”は、透明アクリルに赤や黄色・橙色などの蛍光カラを加えて作り

込んでいるため、光の透過や当たり方でとても美しい姿を見せてくれます。

 

***曲独楽を最大限に楽しむポイント***

 ①なるべくこじんまりとした寄席やホールがお勧めです(例えば池袋演芸場など)

 ②最前列で観賞されるのが最高です(舞台照明の光が上から独楽を透過する際、蛍光カラ

  に反射してとても綺麗に見えます。特に”しだれ柳”は必見です!)

   機会があれば是非一度、寄席やホールへ足を運んでみては如何でしょうか・・・

 

曲独楽は、曲独楽師やなぎ南玉 師〕』により都内の各寄席やホールなどで演じられております。

詳しくは、各寄席やホールの開催予定等でご確認ください。

 

江戸古来の曲独楽造りに挑戦3回シリーズをご覧いただき有難うございました。今後も話題性の

ある情報について掲載して参ります。